土壌抽出物質による藻類の成長の促進
価値の高い微細藻類をたくさん増やすためには、人工的な栄養だけでは十分でなく、自然由来の栄養を利用する必要があります。
そこで、本プロジェクトでは森や池などの自然から微細藻類の培養に適した物質を探し出し、大量培養の効率的な生育・生産を行います。
土壌抽出物質を用いた微細藻類の成長促進はテーマ2の国立環境研究所、UNISELが担当しており、様々な地点で土壌を採集し、抽出方法の検討や適切な抽出物質の添加濃度、さらにどのような物質がどのように藻類の成長を促進するのかメカニズムに迫る研究を行っています。
今回はそんな土壌抽出物質を用いた藻類培養の様子をご紹介したいと思います。
下記の写真は、右が土壌をいれた水をオートクレーブ(圧力釜でぐつぐつ煮る)したものです。
この際の煮る温度や時間、回数などによって抽出される成分や濃度が変化します、またこの抽出液を与える藻類の種類によっても効果は千差万別なので、効果を調べるのには時間と労力が本当にかかり骨が折れます。
左の半透明の液は、右の抽出液を濾過したものです、ほんのり色がついています(お酢みたいな色です)。
土壌の種類によってこの色合いも変化します。
そして、抽出物質を人工培地に加え、微細藻類を培養します。
下の写真は、バブルカラムリアクターと呼ばれる培養装置で、少量の微細藻類を播種したものです。
マレーシアの温度を再現するために水浴にカラムがはいっており、光を横側からあてて培養します。
数日すると藻類が増殖し、水が茶色や緑、赤や黄色と鮮やかな色になります(色は藻類の種類によります)。
数日から数週間かけて培養実験を行い、藻類の増殖を調べたり、藻類の成分を調べたりします。
そして、数日後には培地中の微細藻類の密度が増加し、下の写真のように鮮やかな色になります。
毎日、水温やpH、溶存酸素濃度といった環境データを記録し、藻類の増殖や成分を調べるため一部をサンプリングして分析を行います。
もうしばらくつきっきりの生活が続きそうです・・・。